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失業保険申請件数

  • 経済

アメリカ経済の健康状態を測る指標のひとつ「新規失業保険申請件数(Initial Jobless Claims)」の最新データが発表されました。今回は、5月10日までの週の統計をもとに、アメリカの雇用市場の今を、わかりやすく解説します。


【主なデータポイントの解説】

◆ 新規失業保険申請件数:22.9万件で横ばい

  • 5月10日までの週の「新規失業保険申請件数」は229,000件で、前週と変わらず。
  • 4月末に24.1万件まで増えていたものの、その後は減少傾向が続き、今回は横ばいに。
  • 市場の予想通りの結果で、労働市場の安定性がうかがえます

◆ 継続受給者数:わずかに増加

  • 「継続受給者数(Continuing Claims)」は、5月3日時点で188.1万人に微増(前週は187.2万人)。
  • 長期的に見るとまだ低水準で、雇用が維持されている状況といえます。

◆ 連邦政府職員の申請件数:注目集まる

  • 最近、政府効率化省(DOGE)による人員整理の影響で注目されている連邦職員の申請件数
  • 新規申請は438件(前週比30件減)。
  • 過去平均(1,789人)と比べて非常に低い水準にあり、歴史的に見ても落ち着いた状態です。

なぜ毎回「連邦政府職員(federal workers)」の失業保険申請件数が別枠で報告されるのか

✅ 理由①:連邦政府はアメリカ最大の雇用主の1つ

  • アメリカ連邦政府は数百万人を雇用しており、軍・郵便・税務・移民・公衆衛生など、社会インフラを支える巨大な組織です。
  • そのため、ここでリストラや人員削減が起きると、社会や景気に与える影響が大きいと考えられます。

✅ 理由②:政治的な動きと連動しやすい

  • 連邦政府職員の雇用は、政権の政策や議会の予算編成に大きく左右されます。
  • たとえば、
    • 「政府閉鎖(Government Shutdown)」による一時解雇
    • 行政改革・コスト削減による解雇
    • 新設省庁や部署再編 など
  • こうした動きは景気とは別の「政治リスク」を反映しており、景気判断において特別な注目を集めるのです。

✅ 理由③:民間とは違うトレンドが見られる

  • 民間企業と違って、連邦職員の雇用は景気変動に対してやや鈍感です。
  • そのため、失業保険の申請が増えたときは、「政策や組織改革による強制的な解雇」の可能性が高く、
    • 単なる不況による失業とは別の意味を持つ重要な信号になります。

◆ 4週移動平均:じわじわ増加

  • 短期的なブレをならす「4週移動平均」は、230,500件(前週は227,250件)。
  • 大きな変動ではないものの、注意深く見守るべき小さな上昇です。

【まとめ】

今回のデータを総合すると、アメリカの雇用市場は全体としてはまだ強く、堅調に見えます。新規の申請件数が増えていないこと、継続受給者数の上昇がわずかであることからも、リストラの波が来ているとは言いにくい状況です。

パウエルFRB議長の「労働市場は依然として強い」という見方とも一致する内容といえるでしょう。

ただし、政府関係職の動きなどは今後の変化の兆しとして注視する必要があります。