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RIAIN 男祭り試合感想|ストーリーと実力差が交錯

昨日終わったRIZIN男祭りの感想です。

今回は「テーマ性のあるマッチメイク」が多く、単なる勝敗以上のドラマが込められたカードが多かった印象。その一方で、実力差がはっきり出た試合もありました。ここでは、自分なりに見えた“次に繋がる要素”も含めて語っていきます。

関連記事:RIZIN男祭り勝敗予想


◯ 平本蓮 vs 田丸辰 ✗
3R判定(3-0)

ストライカーからMMAへ転向した選手と、MMA選手との対戦の中では、実力も経験値も最も拮抗していたように思っていたが、意外と危なげなく終わった。平本丈は、打撃も悪くないし、タックルも上手。ただ、”怖さ”がない。全部が平均以上でそつなく上手いけれど、一撃の破壊力や爆発力がなく、相手がビビるような迫力が足りない。打撃は靭やかさはあるものの、強烈に振り切ったり、兄のような天性の上手さは無いので、今後はチョークなど「これが得意」と言える決め技を磨いで、立ち技出身選手を極められるサブミッション技が一つあると跳ねる可能性はある。

田丸選手はまだ若く、経験の差もあるが、試合後インタビューで見せた悔しさや負けん気の強さが印象的だった。天才肌と言われているだけに、今後は体をしっかり作って、フライ級戦線に食い込んでほしい。


◯ 山本アーセン vs 富澤大智 ✗
2R 1分24秒 SUB(タップアウト:リアネイキッドチョーク)

富澤の背中のデカさにまず驚いた。構えや打撃もパワーがあって強そう。ただ、素人目線でも打撃のバリエーションやスピードに、超一流感は感じなかった。アーセンはさすがの仕上がりで、フェイスロック気味ではあったがバックチョークで極めたのはお見事。とはいえ、打撃でややヒヤッとする場面やカットされた点は気になった。

KID依頼にトレーナーを付けたというが、逆に今まで付けてなかったのかと驚き。30歳手前、ここからが勝負どころ。トップに行くのは簡単ではないだろうが、応援したい。

富澤大智も、独特の世界観と良いスピリットを持っていて、今後に期待したい。篠塚辰樹とのMMAでの再戦があれば、噛み合うかもしれない。ただ、打撃戦になってまた負ける可能性も高そう。


◯ 朝久泰央 vs ウザ強ヨシヤ ✗
2R 1分16秒 TKO(レフェリーストップ:左ハイキック)

うざ強ヨシヤの参戦までのストーリーが面白かった。
うざ強が練習するファイトクラブの隣のバーで、ブレーキングダウンのよーでぃーに絡まれ
「俺のこと知ってる?」
「知らないの?BDしらないのやばいよ」
「お兄さん格闘技やらないの」などの会話の後に
「すこしだけ、昔Rizinにでてました」ってウザ強が言ったら、よーでぃーが日和って
「今度練習させてください」からの、ボコってXで動画さらす
それを平本蓮がリツイートで拡散
その手みあげを持ってRizinに出場を直談判 までの流れがすばらしい。

試合自体は朝久の圧勝。打撃のレベルも違ったし、インタビューの爽やかさも含めて100点満点。コメント欄も朝久を絶賛する声が多くて、キックも面白いと思わされた。

これ見て改めて思ったけど、Yuraってやっぱ強いんだな。


◯ ヒロヤ vs 篠塚辰樹 ✗
1R 2分11秒 TKO(コーナーストップ:グラウンドパンチ)

マウント時に相手の腕を足で固定してディフェンスできない状態で殴り続ける
いわゆる「マットフューズ」で肘連打でタオル投入。
1年ほど前に練習していたらしく、練習の成果が実った試合だった。まぁこうあるべき。

篠塚をもう少し見たかったという気持ちもあり、練習してきたことが全く出ないっていうのが、本人も、推しているファンもつらいだろう。

ヒロヤの勝利後のマイクで、
「MMAなめんな」
「主役が居ないフライ級トーナメントはおもんないでしょ」
興奮していたから出たんだろうけど、なんとなくダサく見えてしまうのは俺だけだろうか。顔も生き方もかっこいいのはわかるが、もう少しナルシストを控えるとより良いと思う。

しかし、試合後インタビューでの篠塚に対するコメント
「彼が居たから盛り上がった、トラッシュトークはリスクが有るし、こういう負け方はアンチに相当叩かれる」
「負けた彼をくさして良いのは自分だけ、頑張った男を下げるべきではない」
など、100点満点で、彼が周りに好かれるのはわかる。


◯ サバテロ vs 太田忍 ✗
3R 0分20秒 TKO(レフェリーストップ:グラウンドパンチ)

リーチ差が多きすぎた。距離設定のミスもあったらしいけど、太田忍がここまで一方的にボコされるとは予想外。サバテロの打撃が意外と上手くて的確。太田のタックルが通じるかと思ったけど、サバテロの体の使い方やMMAでの経験が一枚上手。

とはいえ、あれだけ打たれてもオーバーハンドを当てに行く太田の体の強さとメンタルは化け物級。ただ、次回やっても勝てなさそうな体格の違いがあった。

太田忍も体重コントロールは上手いと思うが、当日は大分体重にも差があったように思う。これはまじでまずい展開、かれに勝てる選手はちょっと見当たらない。

あと思ったのは、太田忍は手足が長くてある程度フィジカルがある選手が苦手かもしれない。秋元強真と戦ったら圧勝すると思っていたが、案外秋元が勝つかもしれないと思わされた。

関連記事:サバテロが勝ったらヤバい、今後のRizinバンタム級を占う


◯ 中村大介 vs 桜庭大世 ✗
2R 2分01秒 SUB(タップアウト:アームバー)

これはもう「桜庭大世がまだまだだった」としか言いようがない。打撃は案外良かったけど、スクランブルの展開とか、極めをもう少し伸ばさないと厳しい。

まだ若いから、フィジカルをガッチリつけて、得意技を引き下げてまた上がってきてほしい。


◯ 神龍誠 vs 伊藤裕樹 ✗
3R判定(3-0)

神龍が打撃も付き合いながら、タックルやスクランブルを織り交ぜて、いつも通りうまく、予想していた展開だった。3ラウンドの伊藤のラッシュも良かったけど、どうしても伊藤はこの手の選手への相性悪い。

ただ神龍も極めが甘いと言うか、常に次の展開を考えているのか、「がっちり詰めて決める」っていうのができないので、トップのトップに行ったり人気になるには壁があるかも。判定でも面白い試合という意味ではよかった。

あと試合後インタビューで、二人共に相手のことを「体が柔らかい」と同じコメントを言っていたのが印象的。

今回の結果で、伊藤裕樹がグランプリに出れなくて、ヒロヤがでるという可能性も出てきた。直接対決では伊藤裕樹が勝ってるし、対戦相手の各が違うのでフェアではない気はする。でも人気や流れを考えると、この展開は全然あり得るところが、残酷でありながらビジネスの輪廻を感じる。


◯ 萩原京平 vs 西谷大成 ✗
1R 3分36秒 KO(スタンドパンチ)

最後のワンツーでのKOは見事。西谷も、元谷友貴を彷彿させるパンチしながらのタックルを取ったり、すごく良かった。ただキープ力が少し低いんだろうか。

萩原もディフェンス力が上がってたろうし、立つのも良くなっていて、長南のところでの練習が徐々に実を結んできているってのがわかる。

西谷はブレイキングダウンでの経験もあるかもと思わせるほど近距離での打撃の打ち合いも良かった。動きがあり、よもやと思わせるヒヤヒヤ感もあった。

でもまぁ、打撃では萩原がうえってところ。試合後の西谷が「結構練習したのに、もう練習嫌だ」ってのは人間味が出てた良かった。


✗ 高木凌 vs 秋元強真 ◯
3R判定(0-3)

秋元強真がとにかく強かった。左を振るだけで、怖さがあって、会場がどよめいていた。ただかなり慎重になっていたと思う。

高木はフィジカルとかの素質は高いと思うので、打撃やタックルの精度をもう少しあげるともっと良い。

緊張感があり、良い攻防がみれた面白い試合だった。

試合後インタビューを聞くと、19歳であれだけ落ち着いて話せる秋元強真は言うまでもなくスター性がある。JTTに所属せずに朝倉未来はじめライバルたちと切磋琢磨してほしかった。

一方の高木凌は、試合後インタビューで「全局面で秋元強真が勝っていた」と語り、同門の鈴木千裕と比べるとどうかという質問に対して「それはノーコメントで」と答えていたが、本当のところはどうであれ、そこは「鈴木千裕のほうが断然上、元チャンピオンですから」と答えないとだめだろうと思った。そういった意味で、素質はあるけど、ファイターとして上に行ける器ではないと感じてしまった。


◯ 朝倉未来 vs. 鈴木千裕 ✗
3R 1分56秒 TKO(ドクターストップ:有効打による負傷)

序盤で見合った時は「またか?」と思ったが、今回は頭が真っ白になっている様子はなく、パンチも蹴りも積極的に出していて、頭からのタックルにも行っていた点は良かった。

タックルでグラウンドに行った際に、鈴木千裕が下からくっつくだけで何もできていなかったという批判を、平本蓮と青木真也が口にしていたが、それだけ朝倉未来の抑え込みが、ストライカー相手とはいえ、うまかったのかもしれない。

ただ、前日会見や試合中の動きを見ると、右手や右足の怪我があったのは間違いなさそうだし、呼吸系の問題で体力的に苦しかった可能性もある。実際右の蹴りが全然出てなかったしね。

「出たからには言い訳するな」と言う声も多いが、当事者が口にしないだけで、周りがそれを語るのは自然なこと。

試合後インタビューで、鈴木千裕が未来のことを「強かった」と言わなかったのは、よほど悔しかったのだろうし、怪我について聞かれると「100%で戦う選手なんていない」と語った彼の言葉には男気があった。

結果として、「勝って当たり前」「しかも塩試合」といったアンチや格オタの声が湧く中、それでも大衆を巻き込んで強烈な復活を印象づけた朝倉未来は、やっぱり天才。そして、批判のリスクがある試合を受けたのは、未来も同じだったと思う。

関連記事:RIZIN男祭り勝敗予想(朝倉未来 vs 鈴木千裕)


✗ クレベル・コイケ vs ラジャブアリ・シェイドゥラエフ ◯
1R 1分02秒 KO(グラウンドパンチ)

試合後インタビューで、シェイドゥラエフが「朝倉未来 vs 鈴木千裕はつまらなかった」と堂々言う辺り、彼の自信と格闘技はエンタメじゃねえよって自身がみなぎってる。普通は朝倉未来の試合の批判は言いづらくてオブラートに包むんだけど、こっち(クレベル戦)の試合内容が強烈すぎて、ファンも何も言えなそう。

ただ、朝倉未来と鈴木千裕の試合後に、タイトルマッチを待たずに「観客の3分の1が帰った」という話を見て、もし本当ならちょっと寂しい。でも、いまの格闘技熱ってそんなものかもしれない。

で、試合の方はグラウンドでの攻防含めてもう少し見たかった試合ではあるけど、レフェリーストップは妥当だったと思う。


フェザー級今後の展開

クレベルはシェイドゥラエフとのダイレクトマッチを希望していて、次線で朝倉未来との再戦っていうのはそこまで望んでないかもしれないが、今の流れだと、やるしかないという空気になりつつある。シェイドゥラエフとのリマッチは見たいけど、すぐじゃなく1年以内とかくらいでいい。

今回クレベルが負けたことで、朝倉未来の次戦は萩原京平か、それともクレベルとの再戦かという構図が見えてきた。条件は整いつつある。夏にはスーパーRIZINが控えてるけど、クレベルはKO負けのダメージもあるし、たぶん出ないだろう。

一方、札幌大会でヴガール・ケラモフ vs 木村柊也のカードが発表された。ケラモフが勝てば、次はシェイドゥラエフとのタイトルマッチが行われることも考えられる。

こうなると、朝倉未来が萩原に勝った場合、大晦日でクレベルか平本蓮との対戦が考えられる。フェザー級のタイトルマッチは10月か11月に先にやっておいて、大晦日は話題性重視のカード。その勝者が、2026年にタイトルに挑む流れになるんじゃないか。

なんだかんだで、やはりフェザー級は面白い。

関連動画:Rizin男祭り後の展開予想